第318号【脱・溶剤 サワー水登場】
date:2010-04-01
昨今、環境問題から自動車からの炭化水素の排出規制に加え、工場等の固定発生源からのVOC(揮発性有機化合物 volatile organic compounds)の排出及び飛散に関し、排出規制、自主的取組の促進などVOC低減・削減を求める声を頻繁に耳にするようになって来ました。
VOCとは、揮発性を有し大気中で気体状となる有機化合物の総称であり、トルエン、キシレン、酢酸エチルなど多種多様な物質が含まれます。
我々、洗浄機メーカーが洗浄液として使用してきた物は揮発性有機化合物の一つであり、洗浄と密接な関係で無くてはならない物でした。
一口に洗浄液、有機溶剤と言っても引火点の有無、揮発性の高い物から低い物まで様々な物がありますが、今までに使用してきた洗浄液の多くは揮発性と引火点があり特有の臭いを持つものでした。
引火点のある洗浄液は、安全性の観点から引火点を持たない水系の有機溶剤に置き換えて来ましたが、今ではさらに低VOC・VOCフリーを求められるようになって来ました。
安全性と環境性、洗浄性と乾燥性、これらの全ての条件を満たす洗浄液は多くありません。
洗浄液である以上、洗浄性の確保は当然の事ですが、安全性を優先して引火点がないか引火点の高い洗浄液を使用すれば乾燥性が悪くなり、乾燥性を求めれば引火点が下がり揮発量も増えてしまい環境面や運用面が悪くなってしまいます。
犠牲にした性能を補うために洗浄機本体の性能を上げる事は可能ですが、こちらにもコスト高、エネルギー消費増など環境に対して負荷が増えてしまいます。
『地球益につくす』を社是に掲げている当社は洗浄に対しても環境負荷をいかに減らせるか、試行錯誤を繰返しながら製品を開発し世に送り出して来ました。
当社の究極の理想は『水で洗える洗浄機』です。臭いも無く安全であり、入手・保管も安易な水を洗浄液としてリサイクルしながら使う事で環境負荷を減らしたいと考えています。
日々、低VOC・VOCフリーの研究を続ける中で出会ったのが今回発表した『サワー水 (SNW-P01)』です。理想の洗浄機には一足飛びに辿り着く事は出来ませんでしたが、理想に一歩近づけたと思います。
水を主原料に極力添加剤を使用せず電解によって作られ、強アルカリ電解水として高い洗浄性と耐久性を持つサワー水は水と同様に引火点や臭いもないVOCフリーの洗浄剤です。
アルカリ電解水は、油脂や油汚れの洗浄で界面活性剤の役割を発現するため半田ペーストに含まれるフラックスの洗浄に適しています。
ただ、pH13以上の強アルカリ性を示すのでアルミニウムなどの軽金属を腐食させてしまうため、今までと同じ洗浄方式ではメタルマスクのアルミフレームを腐食してしまい、洗浄に使う事ができませんでした。
そこでアルミフレームに洗浄液をかけない洗浄、水物の弱点である乾燥性を補う洗浄方式を既存の製品から応用する事で、新たにサワー水専用機SC-AH100を製品化し、サワー水と共に発表できる事となりました。
今後も『理想の洗浄機』の開発に向けて日々研究を重ね、社是の『地球益につくす』に恥じない洗浄機を世に送り出して行きたいと思います。
文責 溶剤課 井上 晃男